近所の公園での外遊びも楽しいですが、もっと緑が豊かな森や野原にお子さんを連れていきたくなりませんか?
実は東京都内でも、都心から少し離れるだけで、懐かしい日本の田園風景が広がる場所があるんですよ。
そのひとつが、武蔵村山市の都市公園『都立野山北・六道山公園』。雑木林や谷戸(やと:丘陵の谷間、低湿地のこと)など、豊かな自然が広がっています。
この公園では、自然に触れられる様々な体験イベントを開催しており、親子で楽しめるプログラムもたくさんあるそうです。
今回は、公園を管理するパークレンジャーと一緒に里山を探検する『のやまキッズプログラム』に、小学2年生のここなちゃんと、同級生の晴人くんが参加しました。
公園の玄関口には、江戸時代の農家の家屋を復元した『里山民家』があります。子供たちは、茅葺きの母屋の前に集合。パークレンジャーさんの説明からプログラムは始まります。
探検の前に里山について学びます
「これから田んぼや森の探検に行きますが、みんなに気をつけてもらいたいことがあります。ハチやヘビがでてきたら、どうすればいいかな?」というパークレンジャーさんの質問に、子供たちからは「逃げる!」という声が。
「生きものたちをびっくりさせないように、なるべくじっとしていることです。」とパークレンジャーさんが正解を教えてくれます。
里山で気をつけたいことを教えてもらったら、さっそく出発です!
まずは、母屋の裏に広がる原っぱへ。パークレンジャーさんの「さとやまのおはなし」という紙芝居に子供たちは目をキラキラさせて耳を傾けます。里山の大切さを楽しく知ることができました。
原っぱで昆虫採集に挑戦!
「チョウチョが集まる所へいってみない?」パークレンジャーさんは、子供たちをアザミの花が咲いている場所に集めます。そこで、きれいなアゲハチョウをゲット!アザミの蜜を吸いに集まっているようですね。子供達から「かわいい!」「きれい!」と感激の声があがります。
アゲハチョウの他に、バッタも追いかけて捕まえました。
ひとしきり観察した後、虫かごに集めた虫たちを野原に逃がしてあげました。
田んぼでオタマジャクシを発見!
次は田んぼへと進みます。ここでは田植えや草取り、稲刈りなどの体験イベントも開いているそうですよ。
子供たちは苗を植えていない場所に網をつけながら、すばしっこく動くオタマジャクシを目で追い懸命に集めます。容器に入れてみると、オタマジャクシだけでなく、ヤゴなどもいました。
「カエルやトンボに成長したら、森に行ったり、空をとび回ったりするよね。山と行き来できる水辺はとても大切なんだよ」とパークレンジャーさんは、子供たちに語りかけます。
森の中で出会った不思議な植物
そして探検は森へと続きます。木々が立ち並ぶ小道を進み始めると、
「これ何!?」「何の鳴き声!?」と子供達から質問の声が飛び交います。
ウグイスがきれいにさえずったり、大きなカタツムリが木の枝を上っていたり。
黒くて赤い斑点のあるチョウも見つけました。
「あ、これはジャコウアゲハだね。このチョウチョが幼虫の時に食べる“ちょっと怖い”葉っぱがあります。後で見に行ってみましょう」とパークレンジャーさんは子供たちに声をかけます。
ドングリ拾いや小川でのエビ取りを楽しんだ後、パークレンジャーさんはツルの植物が絡まる竹の柵に案内してくれました。
「これが、さっき見たジャコウアゲハの幼虫が食べる葉っぱだよ。ウマノスズクサといって、実はこの葉には毒があります!幼虫はどうして食べるのかな?」
「他の動物に食べられないようにかなあ」と子供たち。
「その通り! 毒性を体内にためることで、身を守っているといわれています」
パークレンジャーさんも子供たちの発想力に感心していました。
里山体験を終えて
「この公園は東京ドームが何十個も入るほど大きいのですが、今日歩いたのはそのなかのほんの少しだけ。それでも、たくさんの生きものに出会ったよね。自然の山や森には、もっともっときれいな植物が生えていたり、面白い生きものがたくさん住んでいたりするのかもね。
それに、おうちの近くの公園でも、何かの生きものが見つかるかも。どうしてここにいるんだろう、とか考えてみてくださいね」というパークレンジャーさんの言葉で、キッズプログラムは終わりました。
プログラムは1時間半ほどでしたが、子供たちにはあっという間だったようです。終わった後もパークレンジャーさんにせがんで、ダンゴムシの巣を見せてもらうなど、興味は尽きないようでした。
街中では触れられない里山の自然。お子さんと一緒に思う存分遊びながら、その自然の尊さを親子共々学んでみてはいかでしょうか?
ここなちゃん、今日の体験はどうだった?
とっても楽しかった! オタマジャクシの動きがすごく速かったけど、捕まえたよ。プニプニした感触だった。田んぼに戻したオタマジャクシが、次に来たときはカエルになって出てくるのかなあ
晴人くんは?
チョウチョがとてもきれいだった。来月はバッタやトンボの種類がもっと増えてるって聞いたので、また来たいです。
お母さんはいかがでしたか?
自然の体験イベントに参加するたびに、苦手だった虫を嫌がらなくなってきました。草花や生きものに興味を持つようになってきた気がします。それに今回は、私もデジタルデトックスができましたね。街中を離れて木々の中を歩くだけで癒やされます。パークレンジャーさんの説明もわかりやすくて、大人でも興味深く聞けました。歩く距離も小さな子に合わせて短めなので、歩き疲れることもありませんでした。
公園レンジャー部からのメッセージ
都立野山北・六道山公園では、多様な動植物に出会えます。誰でも参加できる体験イベントを用意していますので、気軽にご参加ください。田んぼの農作業に関しては、田植えから草取り、稲刈り、そして脱穀から精米し、実際にお米を賞味するまでのイベントを企画しており、好評をいただいています。里山での体験をきっかけに、ライフスタイルを見直す一助になればと思っております。皆さんのお越しをお待ちしております。
都立野山北・六道山公園