子育て応援とうきょうパスポート協賛店になってよかった!

協賛店としてご参加いただいている企業の声をお聞きしました

 「子育て応援とうきょうパスポート」は、子育てを応援しようとする社会的機運の醸成を目的として2016年にスタートしました。
 都内に住む18歳未満の子供がいるか、妊娠中の方がいる世帯が「パスポート」(デジタルまたは紙)を手に入れると、約8,900(2024年2月現在)の企業や店でサービスが受けられます。
 「子育てを応援したい!」との思いがあれば、基本的にどんな業種でも無料で協賛店になることができます(ただし、風俗営業法で規制されている業種や、社会通念上、子育て家庭が利用することが適当と認められない施設は除きます)。
 「サービス」は粉ミルクのお湯の提供やおむつ替えスペースの設置など、一つでも実施すればOKです。

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ファミリーレストラン「デニーズ」にお話をうかがいました

ファミリーレストラン「デニーズ」は2018年から協賛店に加わり、都内にある約110店すべてが「子育て応援とうきょうパスポート」の取組に参加しています。

同店を運営する株式会社セブン&アイ・フードシステムズの広報担当・杦谷大樹(すぎたに・ひろき)さんに、デニーズでの取組を聞きました。
(データは2024年2月の取材当時)

共用トイレにオムツ交換台とベビーキープ

  • 「子育て応援とうきょうパスポート」協賛店になったきっかけを教えてください。

    デニーズ第1号店がオープンしたのは1974年です。
    創業した50年前からお子様メニューがあり、お子様連れにやさしい、地域に愛されるレストランをめざしています。協賛は自然な流れでした。東京のほか、企業が協賛する子育て支援のための自治体による取組には、出店している15都府県すべてで参加しています。

  • 協賛店としてどんなサービスを提供していますか。

    店舗に設置してあるオムツ交換台

    都内にある全店にトイレにオムツ交換台と、ベビーキープを設置しています。出店10年以内の新しい店は女性トイレだけでなく、共用トイレにもあります。それ以前の出店した店舗には女性用トイレにしかないところもあるので、改装時に共用トイレを設け、交換台とベビーキープを置くようにしています。

「オムツ替えできる」男性から感謝

  • 協賛店になって、お客様からどんな声が寄せられましたか?反響はいかがでしょうか。

    ここ数年、ベビーカーを押している男性が本当に増えましたよね。
    子育てに「男性が協力する」ではなく、男性が当たり前にオムツを替える時代になっています。
    そのため、デニーズには共用トイレがあって男性がオムツを替えられることに、男性から感謝の声をいただいています。創業50周年をきっかけに店舗の改装を進めているので、この取組を全店に広げていけたらと思っています。ベビーキープがあるだけでも助かっているお客様はたくさんいらっしゃると思います。

  • 協賛店に登録して、経営上やブランディングの面でよかったことがあれば教えてください。

    ただ食事するだけではなく、すべてのお客様に「ごはんを食べることは楽しいこと」というメッセージを伝えたいと考えています。

    とりわけお子様にとっては遊園地のような楽しい場所でありたいと願っていますので、お子様連れにとってのマイナス部分を解消してきました。ベビーカーで来ていただいても問題ない導線を設けたり、オムツ交換台やベビーキープを設置したりすることで、お客様の負担を減らしています。

    効果は数値で計れませんが、複合的な理由で子連れ客が増えている実感はあります。

「おもてなしの心」協賛して再認識

  • 協賛店として心がけていることはありますか。そのことを共有するミーティングやマニュアルはありますか。

    協賛店のステッカーを掲げることで、ホスピタリティ教育の大切さを再認識ができたことが、我々にとっての副産物です。たとえばベビーカーを押して来店されたお客様にとって、新しい店だと自動ドアなので問題ないですが、自分で開けるドアだと手間取ります。デニーズのスタッフは気付いたらすぐ開けるので、お客様から感謝されています。

    「開けて差し上げたい」というマインドはあっても、なかなか忙しいオペレーションのなかで行動に移せないものです。だからこそ「子育てを応援している」と公に宣言することによって、「おもてなしの心」をもち続けたいですね。

    店長会議で話し合ったことを各店に持ち帰り、スタッフに共有しています。
    ホスピタリティに対するマニュアルはあり、子連れのお客様にはできるだけ広めの席を勧めたり、目線を下げて、中腰でお子様と目を合わせて話したり、しっかりお声かけするようにしたりすることをOJT(現場の実践研修)で行っています。

  • 課題や今後の取組についてはどう考えていますか。

    他府県ですと割引サービスがあるのですが、東京都ではしていませんので、「パスポートの割引はないのですか」との声をいただくことはあります。私自身、パスポートをお見せになったお客様に「これって何か使えますか?」と聞かれたこともあります。パスポートの提供サービスとして割引はありませんが、協賛店登録が子育て家庭に対するホスピタリティの醸成に一役買っていると思います。

    多摩センター店での「食材当てクイズ」

    例えば、「おこさま食育スクール」を一部の店で開いています。お箸の使い方やマナー、食材を学ぶクイズなど独自のプログラムで、1回に4~10数名が参加されます。店長が発案したこの取組はとても好評で、開催した店舗のある多摩市からは表彰されました。

    こうした店全体としての子育て支援の取組のひとつとして「子育て応援とうきょうパスポート」があります。アフターコロナと言われる時期になったいま、誰にとっても利用しやすいデニーズにするため、パスポート協賛店としても子育て支援の取組を浸透させていきたいですね。

  • 「子育て応援とうきょうパスポート」に参加する企業側のメリットは何でしょうか。

    地域と連携して、お子様や子育て世代のお客様の応援ができることです。ファミリーレストランという事業特性上、もともとお子様に間口を広げていますが、自治体と一緒に取り組むことで幅が広がります。また従業員に対してもホスピタリティを教育するきっかけになります。

    「レストランの敷居を下げて外食を当たり前にする」というのが、デニーズの創業からの思いです。
    「小さいころデニーズに行ったな、楽しかったな」という思い出を持って大人になり、また子どもを連れて来ていただけたらうれしいですね。

    子育てしやすい環境づくりを含めて、社会問題に取り組まなければ地域に未来はなく、企業としても存続できません。まだまだ課題はありますので、外食文化を日本に根付かせた50年前から変わらない開拓者精神で、これからもチャレンジを続けたいですね。

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