スペシャルインタビュー
「教えて、子育てのコツ」

INTERVIEW

03

どうする?
子供のほめ方・叱り方

小学生の子育てにおける悩み、
「ほめる・叱る」を紐解きます。

特に小学生の子を持つ多くの親御さんが悩みを抱える、子供のほめ方・叱り方。
どんな時にどんな言葉や態度で接したら良いか、正解がないからこそ家庭によって千差万別なのが現状です。
そこで今回は名古屋短期大学保育科で教授を務める傍ら、
保育カウンセラーとしても数多くの家庭の悩みに向き合ってきた山下直樹さんに、
子供に響く効果的なほめ方・叱り方について教えていただきました。

THEME 01

小学生の特徴

著しい成長を迎える時期。
言動・行動の背景を捉えて適切な対応を。

ほめ方・叱り方について、
どんな悩みや相談があるのでしょうか。

小学1年生から6年生の子供は、自我が芽生える年頃、思春期に突入する年頃であり、心と身体の変化が大きくなる時期にあたります。親御さんからの相談もほめ方より叱り方に関する悩みが多く、よくお聞きするのは、子供が過激な言葉を使うようになった際、また反抗的な態度を取るようになった際に、子供とどう向き合えばよいか、といった内容です。我が子の言動や行動に戸惑う気持ち、私も子育てに携わってきたのでよくわかります。

お伝えしているのは、頭ごなしに怒る、注意する、否定するなどはしないこと。子供が強い言葉や態度を示すのには必ず理由があります。例えば、友達に「一緒に遊ぼう」と言いたいはずなのに相手の身体をつねってみる。ママ・パパの興味を引きたいがために「バカ・アホ」と言ってみる。そうした言動や行動は主張の現れでもあるので、その「背景」にある意図を理解し、それを紐解いてあげるのが大切でしょう。

特に小学校の低学年頃は幼児期後期と同様に、コミュニケーションの取り方がわからない、苦手と感じているケースも十分にあります。だからこそ、まずは言葉や行動を受け止めて、その理由に着目してほしいと思います。

一方で、小学校の高学年になると親の言うことに「うるさい!」と反応したり、親と同じ空間にいることを嫌い自室に籠ったり、相手に強い影響を与える言葉や行動が見られる傾向があります。子供によって程度の差はありますが、生理的な変化から自分の思いや感情を上手にコントロールできずに反抗してしまう時期です。まずは子の成長を受け止め、寄り添う姿勢が大切でしょう。

ほめると叱るについて、どのようにアドバイスされているのでしょうか。

私は「ほめる」と「叱る」をそれぞれ次のように定義しています。まず、ほめるとは「認めること」。つまり、私はあなたのことをちゃんと見てるよ、しっかりと向き合っているよ、とひとりの人間として認めていることを子供にわかってもらう行為が「ほめる」であると考えています。

次に、叱るとは「伝えること」です。自分が何をどうすれば良いのかわかる状態にする行為が「叱る」になります。ほめる=認める、叱る=伝える、を前提にコミュニケーションを取ることで子供の反応も見違えるように変わります。

THEME 02

効果的なほめ方

ほめるとは、認めること。
ほめる際に大切な5つのポイント。

では、まずは「ほめ方」について
具体的な方法を教えてください。

私が考える「効果的なほめ方」には5つの大切なポイントがありますので、それぞれに分けてお伝えできたらと思います。

1つ目は「シンプルにほめる」です。日本人はなぜかストレートにほめるのが下手で、間接的にほめてみたり、オブラートに包んでほめてみたり、変化球のような形で言葉にすることが多いと感じます。しかし、こうした方法だと子供は「ほめられた」と感じづらい。もっとシンプルに「よく出来たね」「えらいね」と認めてあげるのが大切です。

2つ目は「すぐにほめる」。例えば、何も言わずとも宿題を始めたとき、終わったら言葉をかけるのではなく、その行動をすぐにほめてあげる。喜ばしい行動を子供が取ったときほど、即座にほめてあげると良いでしょう。

3つ目は「1つの行動を4回ほめる」。宿題の例で言うと、取り掛かったときにまずはほめ、2度目は夕食時など皆の前でほめる。3度目は夜、寝る前にほめてあげる。そして4度目は翌日、朝食時などに昨日の出来事に触れてあげる。「昨日はすごかったよね」など一声かけてみてください。すると「今日も頑張ってみようかな」と子供は意識するようになるでしょう。家族の前でほめるシチュエーションがあると子供の自己肯定感は更に高まります。

4つ目は「比較してほめない」。兄弟や同級生などと比べないことが大切です。比較するという行為は自ずと競争を意識させる構図になりがちです。すると比較対象よりも良い結果じゃないといけない、と考えるようになってしまいます。ほめられるような結果を出し続けることは困難です。だからこそ、現状の「努力」にフォーカスしてほめてあげてほしいと思います。

そして5つ目は「イヤミや皮肉を付けずにほめる」。例えば、「いつも忘れっぽいのに今日は忘れ物をしないの、偉いね」とか、「お手伝いできるなんて雪でも降るんじゃない?」など、言葉に余計な含みを持たせないようにしましょう。付け足しはせずに直球でほめてあげてください。

ほめ方の5つのポイント

  1. ①シンプルにほめる
  2. ②すぐにほめる
  3. ③1つの行動を4回ほめる
  4. ④比較してほめない
  5. ⑤イヤミや皮肉を付けずにほめる

THEME 03

効果的な叱り方

「叱るとは、伝えること。
叱る際に大切な5つのポイント。

「叱り方」についても具体的な方法がありましたら
教えてください。

ほめ方と同様に「効果的な叱り方」についても5つのポイントを設けました。

1つ目は「肯定的な言葉で伝える」。子供を叱る場面というと、例えば「走り回らないでよ!」「ご飯を残しちゃダメでしょ!」など、否定的な言葉が出てきやすいものです。そういうときは、「歩いてね・座ってね」「野菜も食べようね」など、否定語を用いずに肯定語で伝えると良いでしょう。また、二重否定を含む声がけは避けるようにしてください。「勉強しないとゲームできないよ」といった否定に否定を重ねる文章は、子供が意味を理解しづらく、混乱するので注意が必要です。

2つ目は「具体的に伝える」。前項で「叱る=伝える」と言いましたが、子供に意図が伝わることが最も大事です。宿題をせずに遊び続けている子に「遊んでばかりいないで、やることやってよ!」と叫んでも、その意図は伝わりません。そんなときは「時間になったら宿題やろうね」の一言で十分です。シンプルかつ具体的な言葉選びを心がけましょう。

3つ目は「子供に近づき目を合わせて伝える」です。ママ・パパも忙しいときはついつい他のことをしながら声だけ掛けてしまいがち。しかし、それだと子供は自分ごとにできず、無視してしまうものです。忙しいとき、時間がないときでも可能な限り子供に近づき、目を見て伝えてみてください。その一手間で伝わり方は見違えるほど変わります。

4つ目は「強く叱るときは短くビシッと」。親の方が感情的になって矢継ぎ早に捲し立てても効果はありません。伝えたい言葉だけに集約して伝えることで子供もメッセージを受け取りやすくなります。

最後に5つ目は「捨て台詞には反応しない」。叱る場面では子供と言い争いになるケースも多いのではないでしょうか。子供もヒートアップしてくると「うるさい!」とか「ママ・パパなんて嫌い!」など、強い感情を示すのが常です。そんなときは、言われた言葉や行動に反応せず、上手にスルーしてください。子供が表す強い感情は、親の発言を理解しようと向き合っている証拠です。子供の成長・自立の時期だと前向きに捉えて、親の方がその言葉や行動を真に受け取り過ぎないようにしましょう。

叱り方の5つのポイント

  1. ①肯定的な言葉で伝える
  2. ②具体的に伝える
  3. ③子供に近づき目を合わせて伝える
  4. ④強く叱るときは短くビシッと
  5. ⑤捨て台詞には反応しない

THEME 04

親のケア

正解のない子育て。
親自身も適度なガス抜きを。

効果的なほめ方・叱り方を実践しても、実際はうまくいかないことも多いもの。
そんなとき、親はどんな心構えでいるのが良いのでしょう。

まず、子育ては親の思った通りにいかないのが当たり前です。かくいう私も自分の子を育てる際にたくさん苦労しましたし、失敗もしました。最近は本や雑誌、インターネット、SNSなどでさまざまな情報を得られますし、他の家庭の子育ての様子も見えやすい世の中です。キラキラした子育てを目にすると、ついつい自身と比べて落ち込んだりもするでしょう。

でも、どんな家庭の子育てにも光があれば、影の部分があるもの。大事なのは、上手に開き直る心構えを持つことではないでしょうか。また、不安や悩みがあったときは、身近な友人に話してみたり、また、都や区市町村でも、児童相談所子供家庭支援センターなどに相談窓口があるので活用してみると良いでしょう。

さらに、もうひとつ大事な心構えとして、なぜほめるのか・叱るのか、その理由を自分のなかで明確にすることがあります。子供をほめる・叱る理由は人によって異なり、同じ家庭内でもママとパパで違うなんてことは珍しくありません。そしてご自身の中でも、時期やタイミングによって、TPOによって、その場の感情によって「ほめる・ほめない」「叱る・叱らない」の線引きは変わるものです。

だからこそ子供の発言や行動を「なぜほめたのか・叱ったのか」、その理由を考えてみて、自己理解を深めてほしいと思います。そうすることで、その時その場の子供の反応に左右されず、うまくいってもいかなくても、自分の中での「ほめる軸・叱る軸」が確立されるようになるでしょう。

最後に、このページを見ている、子育て中のママ・パパに応援メッセージがあればお願いします。

小学生から思春期へ向かう子供は、蝶々に例えるなら「幼虫」から「サナギ」になる段階といえます。変わりゆく心と身体の変化を受け止めながら一生懸命に生きている、そんな状態です。非常にセンシティブな時期だからこそ、共に暮らす親もさまざまな刺激を受けるのが当然です。

ほめ方・叱り方についていくつか申し上げましたが、正解なんてありません。子育てには、あらゆる物事においていつか必ず卒業するときが訪れます。失敗も成功も乗り越えながら、子供たちと一緒に育っていく。そんなかけがえのない時間を大切に、前向きに楽しんでもらえると嬉しく思います。

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山下 直樹(やました なおき)

名古屋短期大学保育科教授、保育カウンセラー、臨床心理士、公認心理師。東京学芸大学教育学部障害児教育学科を卒業後、シュタイナーの治療教育を学ぶために渡欧。帰国後、障がい児とその保護者の支援に携わる。その後、大学院で臨床心理学を修め、保育カウンセラー・スクールカウンセラーとして保育・教育現場での経験を重ねてきた。現在は大学教授として勤務する傍ら、執筆・講演活動も行っている。