子育て協働フォーラム

子育て協働フォーラム イベントレポート

子育て協働フォーラム
イベントレポート

  1. 日時

    2021年11月21日(日)10:00~15:30

  2. 会場

    東京ウィメンズプラザ 東京都渋谷区神宮前5-53-67

11月21日(日)に、「子育て協働フォーラム」が東京ウィメンズプラザで開催されました。このフォーラムは、社会全体で全ての子供と子育て家庭を支えられる東京の実現を目指し、企業、NPO団体、自治体等が一体となる機運を高めることを目的としています。
当日は、子育て支援に関連するNPO団体や企業の方をはじめ、子育て支援に興味のある個人の方、登壇する子供達の保護者などが、来場だけではなく、オンラインでも参加しました。

子育て協働フォーラムイベントの様子

第1部 こどもシンポジウム ティーンズ・アクションTOKYO 2021

座長

小森 伸一先生(東京学芸大学 教授/学長補佐)

コメンテーター

武田 信子氏(臨床心理士/武蔵大学元教授/一般社団法人ジェイス代表理事)
光畑 由佳氏(モーハウス代表/特定非営利活動法人子連れスタイル推進協会代表理事)
中嶋 麻理子氏(東京都福祉保健局子供・子育て計画担当課長)

進行

伊藤 相氏(特定非営利活動法人東京学芸大こども未来研究所)


第1部は、「こどもシンポジウム ティーンズ・アクションTOKYO 2021」です。「こどもシンポジウム」は、公募によって集まった中学生や高校生が、東京都の子供・子育て支援策についてグループで研究活動を行い、その成果を発表する場です。
今回、28名の中高生(コアメンバー、通称コアメン)が、5つのグループに分かれ、東京学芸大生(コーディネーター、通称コディ)のサポートのもと、約3ヶ月半にわたり、オンラインを活用して、各テーマの研究活動を行ってきました。

ティーンズ・アクションTOKYO 2021

以下、発表順にグループ発表の内容を紹介します。

グループ3の発表 「『誰も取りこぼさない子育て社会』にむけて」

グループ3はアンケートでの意識調査をもとに、2つのテーマについて研究を進めていきました。1つ目は「男女の育休取得率の差」について。調査の結果、職場の理解が低かったり、そもそも制度を知らなかったりということが、育休制度利用の弊害となっていることが分かりました。つまり制度自体に問題があるということではなく、個々の意識の持ち方に左右されるのではないかということです。そこで新しい制度を増やすのではなく、今ある制度を有効活用できるように、SNSなどを使って広報活動に力を入れること、中高生のうちから男女問わず子育てや育休についての知識を身につけることが必要ではないかと考えました。2つ目は、依然として認知度が低い「LGBT+と子育て」について。これに対して、大人向けに学習の機会をつくっていくことを提案しました。現在の東京都の政策のほとんどが男女の夫婦のためだけのものになっており、社会の雰囲気や制度的な問題が複雑に絡み合い、LGBT+の人々の子育てへの抵抗感が増していると考察。今ある子育て政策を、LGBT+を含めた全ての人々に、例外なく適用してほしいと強く訴えました。

グループ1の発表

グループ1の発表 「インクルーシブコミュニティ」

「インクルーシブ社会」という用語をネットで調べると、「障がいだけでなく、性別、年齢、国籍や宗教、文化などの多様性を認め合い、ともに暮らしていく社会」とあります。グループ1では、自分たちなりの「インクルーシブ」を考え、大人によって育てられるのではなく、自分の状況に合った環境に身を置くことで、家族や友達、そこで出会った人たちとともに育っていくことが「インクルーシブ」だと定義しました。例えば、東京都であれば、イベントの開催やオンラインコミュニティを活用し、中高生にも開かれた場所にすることを提案。コミュニティであれば、学生が主体となって運営できる組織づくりを提案しました。さらに都内の特別支援学級の教員の方に、コミュニティづくりにおいての注意点や、特別支援学級の生徒にも利用しやすいようなコミュニティをつくるためのアドバイスをもらいながら、あるべきコミュニティの姿を具体的に説明。最後は、「誰かを受け入れ、自分も誰かに受け入れられることで、『インクルーシブな社会』が作られるのではないでしょうか」と会場の観客に向けて投げかけ、発表を締めくくりました。

グループ4の発表

グループ4発表 「外国にルーツを持つこどもと暮らし」

グループ4は、外国にルーツを持つ子供達へのインタビューを行いました。その結果、インタビューに答えてくれた子供達が普段の生活の中で「同調圧力」「外見」「生活習慣の違い」を感じていると気付きます。そこで、外国にルーツを持つ子供達が安心して自分らしく過ごすことができる、もう一つの家のような暖かい環境を東京都でつくるため、独自に「+IEMO〈プラス イエモ)」というものを考えました。これは、「Information Provision」(情報提供)、「Education For Accepting Diversity」(多様性を受け入れるための教育)、「Mental Seminar」(メンターによるサポート制度)、「Online / offline Community」(オンライン/オフラインでの交流の場の提供)の頭文字からとった概念です。それに沿って、外国にルーツを持つ人に向けたさまざまな東京都の施策を中高生にも届けるためにSNSを活用すること、学校教育における「多様性」、同様のバックグラウンドを持つ子供達のコミュニティ、文化や慣習、言語の違いによって壁を感じた際の心のケアといった、それぞれの重要性について説明しました。

グループ2の発表

グループ2 「ここにある。~皆が放課後リーダーズ~」

「皆が放課後リーダーズ」というタイトルには、放課後の居場所が気軽に行ける近さにある、みんながもっと自由な主体性を発揮できるという意味が込められています。中高生の放課後の居場所が必要だと感じるが、それを新たにつくることが現実的ではないと考え、既存の公園や神社、お寺、教会などを放課後の居場所にすることを提案。そして、Googleフォームのアンケートで中高生から意見を募り、アイデアをより具体化していきました。その結果、お金がかからないこと、主体性を発揮できること、学校や自宅の近くにあることが重要であることが分かりました。それらの条件を満たしつつ、公園や神社、お寺、教会を活用するためには、「安心安全に過ごせる建物があること」、「Wi-Fi環境が整備されていること」、「お寺や神社、教会に対する先入観を変えること」の3つが必要であると結論付けました。もし東京都のサポートがあれば、中高生は今よりも良い「放課後の居場所」を見つけられるのではないでしょうか?

グループ5の発表

グループ5 「未来の『まち』を考える」

グループ5は、「あたたかみのある環境づくり~笑顔あふれる地域コミュニティ~」をコンセプトとし、「笑顔あふれる」「あたたかみ」あるまちづくり、地域コミュニティについて考えました。それらを議論した結果、「イベント」と「環境・施設」という2つに課題を分け、インタビュー調査を実施。まず「イベント」については、地域のイベント情報が手に入りづらいことを問題点として挙げ、より多くの媒体を使って宣伝をしていくことでイベント参加人数が増え、まちが活性化するのではないかと考えました。また、多くの人が参加したいと思うイベントを企画することで、貴重な体験が得られ、地域交流が深められるのではないかとも。「環境・施設」では、「公園」の存在意義について。幼い子供だけでなくすべての年齢層が気軽に楽しめる空間へと公園のイメージを変え、行政のHPや広報での啓発活動を行うことで、公園が周囲の人への配慮ができる社会づくりに役立つと考えました。最後に、「イベント」と「環境・施設」についての調査をまとめ、未来の「まち」の理想像が「公園」を活用するものと提案。公園で子供だけではなく、幅広い世代に向けてイベントを開催し、公園をきっかけに地域のコミュニティが活性化するのではないかと結論付けました。

修了証の手渡し

発表終了後、各グループの代表者に小森先生から修了証が手渡されました。

集合写真

最後は、コーディネーターたちと一緒に写真撮影です。緊張から解放され、みんないい笑顔です。

集合写真

第2部 講演 「こどもの社会と大人の社会をつなぐためには ~「子連れ出勤」の事例を通して~

講演者

モーハウス代表/特定非営利活動法人子連れスタイル推進協会代表理事 光畑 由佳氏


現在の日本では、まだ馴染みが薄い「子連れ出勤」の事例を通して、子供の声を聞くことの重要性や、子供の社会と大人の社会をつなぐ工夫、「社会で子供を育てる」ということ、親たちが自身の力を信じることができるための支援の大切さについてお話しいただきました。
例えば、外出先で赤ちゃんへの授乳が必要になった時、近くの授乳室を探さないといけません。しかし近くに見つからない時もあります。そこで光畑氏は、外でも使えるように工夫がされた授乳服を製作し、授乳できる環境をその場につくることで、その問題を解決したのです。また、公共の場所での授乳に関するイベントなどを通して、社会への啓蒙も行ってきました。
実は、お母さんが気軽に外出できるということは、防災にも繋がるそうです。というのも、いろんなところに出かけている赤ちゃん、いろんなところに慣れているお母さんの方が、避難所などでより心安らいで過ごせる傾向にあるのではと。しかし実際には、熊本地震の時に話題にもなりましたが、赤ちゃん連れのお母さんたちの多くが避難所での生活に困難さを感じ車上避難などをしていたため、健康被害が起きてしまいました。これらのことからも、子連れのお母さんが外出先や避難所でも、より過ごしやすい環境をつくっていくこと、子供と大人の社会が繋がっていくことの重要性が分かります。
実際、子供連れで外出することが難しいと感じているお母さんの多くが、不安を覚えずに行ける場所であれば外出したいと思っているようです。子連れ通勤のお母さんの中には、電車を利用する人もいますが、電車は不安を感じる場所の一つ。赤ちゃんが泣いたりすると嫌な顔をされたりすることもあるため、電車は子供が排除された空間とも考えられます。
ある調査で、「子供が欲しくない理由」を問うと、「子育てするのは大変そう」、「自分のために使える時間やお金を減らしたくない」というのが上位に上がりました。WHO憲章では、「健康とは、肉体的にも精神的にも社会的にも満たされた状態のことをいう」と示されています。社会におけるお母さんの心の健康が確かに守られること、これは今後の課題であると光畑氏は強調します。
さらに、コロナ禍で子供が預けられず、テレワークをしながら子育てをした経験のある人に調査をしたそうです。仕事と生活の場が曖昧になってしまうため「仕事に集中できない」、「子供の相手ができない」といったネガティブな意見が多数。そして、子供の面倒を見ながら仕事をすることを、3割の人が「絶対に避けたい」と答えたそうです。しかし実際には、仕事をする様子を子供に見せることによるメリットも多くあるといいます。光畑氏の職場では、働くお母さんの周りには子供がいて、さらにお母さんは仕事をしながら授乳することも。子連れ出勤したスタッフに聞き取り調査をすると、「人見知りがなくなった」、「子供の社会性が養われた」、「仕事をする母親への理解がある」というポジティブな意見が多く聞かれるそうです。
「子」なれた社会、つまり「子供が大人に慣れている」、「大人が子供に慣れている」、「社会が子供に慣れている」状態を目指すことが大事なのです。これからを生きていく子供達にこのような明るい世界を見せてあげるために、大人は何ができるのでしょうか。
このあとディスカッションの場を設けたいとの提案とともに、講演を締めくくりました。

光畑由佳氏の講演

第3部 パネルディスカッション「こどもの笑顔があふれる“まち”とは 子供の声を聞くということ」

パネリスト

光畑 由佳氏(モーハウス代表/特定非営利活動法人子連れスタイル推進協会代表理事)
嶋村 仁志氏(一般社団法人TOKYOPLAY代表理事)
荒井 佑介氏(特定非営利活動法人サンカクシャ代表理事)

ファシリテーター

武田 信子氏(臨床心理士/武蔵大学元教授/一般社団法人ジェイス代表理事)


まずは、ファシリテーターの武田氏が、今年の4月から施行された「東京都こども基本条例」について、及び自身が代表理事を務めている一般社団法人ジェイスの活動について説明。ジェイスでは、日本の子供の養育環境のためのアクション「マルトリートメント(避けるべき子育て)の予防」について取り組んでいるとのことです。
その後、一般社団法人TOKYO PLAY代表理事の嶋村氏より、住んでいる地域や家庭背景、保護者の理解度や子供の能力に関わらず、全ての子供が豊かに自ら遊び育つことができる環境の実現を目指し活動されているとのお話がありました。
最後に、特定非営利活動法人サンカクシャ代表理事・荒井氏のお話です。学校や社会に馴染めない若者がどんな道に進んでも生き抜いていけるようにサポートをしているそうです。
パネルディスカッションでは、第一部の子供たちの発表を踏まえ、「東京を子供の声が聴ける自治体にするために私たち都民ができること」について議論が交わされました。会場参加者だけではなく、オンライン参加者もディスカッションに加わります。中には午前中に発表した中高生も。最後はパネリストの3名から総括をいただき、第3部のパネルディスカッションを終了しました。

パネルディスカッションの様子
パネルディスカッションの様子2

「こどもの声を聞いて 未来の東京を考えよう」をテーマに開催した今年度の子育て協働フォーラム。東京の子育て支援について、地域の協働のあり方について、考えるきっかけにしていただきたいと思います。