「親子でスマイル!体験レポート」では、親子で一緒にできる遊びや体験、気軽に参加できるイベントのご紹介とあわせて、子育てのための心強い地域のサポート活動などもご紹介していきます。
今回は、杉並区で子育て支援を中心とした地域活動をしているNPO団体「ゆるゆるma〜ma」をご紹介。ユニークな団体名とともに、地域に根ざした温かみのある活動をレポートします。
「ゆるゆるma〜ma」に込められた想いとは
活動地域は杉並区の和田という地区。この地域のご出身で、現在団体の理事長を務められている小松崎明子さんが友人とともに立ち上げた子育てサロンが、その前身です。発足から7年ほど経った2012年の1月に、NPO法人「ゆるゆるma〜ma」となりました。
理事長の小松崎さん
「子育てに追われすぎて、気持ちが“キツキツ”になっちゃうお母さんって、結構いらっしゃるんですよね。ネットや情報誌、専門誌などの情報にとらわれすぎて、『自分の子育ては間違ってるんじゃないか』って……。そんな“キツキツ”な状態で不安を抱いているお母さんたちの気持ちを少しでも緩めることができたらいいな、“キツキツ”から“ゆるゆる”になればいいなという想いから、安心感のある子育て環境づくりのお手伝いをしたく、この活動を始めました。」という小松崎さん。団体名の“ゆるゆる”にはそんな願いが込められています。また、これに“ma〜ma”と続きますが、普通の音引き(ー)を使わず、波線符号(〜)としたのも、名前から少しでも「ゆるさ」を感じてもらえればと考えたからだそうです。
かゆいところに手が届く、子供のトータルケア「和つなぎプロジェクト」
「ゆるゆるma〜ma」がメインとしている活動に、2018年からスタートした「和つなぎプロジェクト」があります。「サポート活動」や「杉並わっか塾」など、5つの事業から成ります。
活動の一部を紹介します。
「サポート活動」は、産前産後から青年期のお子さんがいる子育て家庭を対象に支援。子育てに関する急な困りごとをサポートする活動です。
例えば、「急用で、明日、誰かに子供を見てもらいたい」などといったとき、登録に時間がかかりがちな行政のサポートでは間に合わなかったりしますが、この活動は、そんな突発的なケースにも臨機応変に対応してくれます。最終的には、行政のサポートを受けるための引き継ぎにも配慮しているそうです。
また、「杉並わっか塾」では、塾に通いたいのだけど通えないというような中学生たちを対象に支援しています。家庭の事情で普通校受験を諦めるように言われていた子が、都立高校の普通科に合格するほどの学力をつけたり、数学の授業についていけなったことが原因で不登校になった子が、数学の面白さに気づき、また学校に行けるようになったりと、この塾に通うことが、子供たちの大きな自信にもつながっているようです。
実はこの「和つなぎ」という名前にも秘められた想いがあるとのこと。“和”は、地域名である和田に因んでいるとともに、まとまりの“和”や心の“和み”などの意味を。そして“つなぎ”には、子供たちが集う学校や幼稚園、保育所、児童館、学童クラブだけでなく、高齢者向けの集いの場なども含め、地域全体がつながりをもって子育て家庭や高齢者をサポートしたいという願いが込められています。
そんな想いから、5つの事業のひとつ「和つなぎサポーター養成講座」では、地域の困りごとに寄り添える支援活動を“つなぐ”サポーターの養成も行っています。
若いお母さんたちがサポートを受けて、子供たちが大きくなって巣立っていったときに、「次は私も何か恩返しをしたい」、「子育てママを支援したい」、「当時手伝ってもらった方が高齢で不自由にしているなら今度は支えたい」と思ってもらえるように『支援の循環』を意識して活動を続けているそうです。
地域から愛され、見守られる活動に
「ゆるゆるma〜ma」では、子育て支援だけでなく、杉並区の高齢者活動支援センターである「ゆうゆう館」の2施設や今年オープンした「杉並区立コミュニティふらっと東原」の運営も担っています。「杉並区立コミュニティふらっと東原」は地域の乳幼児親子からシニア世代までがふらりと訪れられるようなコミュニティ施設を目指して杉並区が開設した支援施設。多世代サポートに一日の長がある「ゆるゆるma〜ma」の活動が、行政からも認められていることが窺えます。施設内では、生涯学習講座や子供たちも参加できる体操教室、かけっこ教室なども開催され、とても評判が良いそうです。
絶妙な距離感の子育て支援。悩んだら気軽に相談、ぜひ参加を
「ゆるゆるma〜ma」のアットホームな雰囲気は、理事長の小松崎さんをはじめスタッフの皆さんの人柄からも伝わってきました。コロナ禍の影響もあり困窮する家庭も増えている中、苦しいときに気軽に相談できる間口の広さと温かさは、本当に安心感があります。
小松崎さんは、「今年で前身の団体から数えると、活動も16年になります。支えられる方、支える方の双方が参加しやすいことが長続きの秘訣かなと。今はいろいろな助成金を利用して継続できていますが、助成期間が終了しても和田地域で支援者を募り、互助会のような仕組みをつくってさらに継続できればいいですね」と、柔らかな笑顔で話してくれました
子育て家庭を地域全体で見守るための架け橋のような存在である「ゆるゆるma〜ma」の活動は、きっと「地域共生」にもつながっていくことでしょう。
子育てに奮闘する皆さんへのメッセージ
「『自分の子育てが駄目なんじゃないか』と悩むお母さんって実はとても多いんですね。そんなお母さんには、『お子さんにとってはあなたの子育てが一番なんだよ。愛情がある子育てをしていることは、お子さんが一番よくわかっているから自信を持って』と話すことがよくあります」と小松崎さん。
ネットや先輩ママに聞いたことなど、色々な子育ての情報がありますが、自分に合う方法をしっかり見つけて、自分らしく子育てを楽しんでほしいと願っているそうです。
「親も子供と一緒に成長していくんだから、自分流で全然いいと思っています。これがいけないのかな、あれがいけないのかな、ではなくて、『これが自分たちにとっての子育てなんだね』って思えるようになってほしいですし、私たちは子育てをしている方々がそう思えるためのお手伝いをしていきたいです」とおっしゃっていました。
これから子育てを始める方や、今まさに子育てに奮闘中の方にとって、「ゆるゆるma〜ma」のような存在はとても心強いですよね。あなたの地域にもそんな心強い子育てのサポーターがいるはずです。ときには地域のサービスやサポートに頼って、心にゆとりをもって子育てを楽しんでくださいね。
ゆるゆるma~ma