戻る

親子でスマイル!
体験レポート

2017/11/30

地域団体活動品川区

【団体活動】品川子育てメッセ(品川区)

子育て支援を、本当に必要な人に届けたい!思いをつなぎ、現役ママ・行政・NPOの共催で作り上げる情報見本市

品川子育てメッセ(品川区)

品川子育てメッセ2018実行委員会の皆さん

品川子育てメッセ2018 実行委員会の皆さん

毎年、子育て現役ママたちが集まって構成される、品川子育てメッセ実行委員会。「子育て中のママたちが必要としている情報や支援を届けたい」に共感するメンバーが集い、約半年間にわたってメッセ開催の準備を進める。一人一人の専門知識やスキルだけでなく、「受け取ったことを、次の誰かのために」という熱い思いが原動力。

子育て支援に関する情報の「発信者」と「受け手」をつなぐためにメッセをスタート

-品川子育てメッセの立ち上げの経緯を教えてください


当時、区内で子育て情報誌『SKIP』を発行していたメンバーが、「子育て世代が本当に必要とする情報を届けたい!」という声をあげ、それに呼応して初代委員長の熱い思いが周りを動かしたのが始まりです。
私自身も、自分に子供が生まれて区の子育て支援を知るにつれ、「こんなにたくさんのステキな支援があるのに、なぜママたちに知られてないんだろう?」という気持ちが原動力だったので、「区と共に」という視点は大事でした。それと同時に、「支援を必要としているママたちの声がもっと伝わったら、もっと助かる支援になるのに」と思うことも多々ありました。品川子育てメッセは、その双方をつなぐものにしたかったんです。


-メッセではどんなことを目指しているのですか


初回から通じてのテーマは『つたえる・つながる・めぐりあう―子どもと一緒に広がる世界』です。都内でもさまざまな子育て支援の施策があるなかで「品川がやっていないことを見つける方が難しい」といわれるくらい、品川区は23区の中でも子育て支援に力を入れている区なんです。子供がいる家庭がどんどん増えていて、働くママが多い。待機児童も少なく、子育ての環境が揃っている方だといわれています。
でも、行政がやっている支援は区から発信されることはありますが、ほかの団体やNPO法人がやっていることはなかなか伝わりにくいんです。そういう団体が何をやっているかを広く知ってもらった方が、ママにもとっても、支援団体にとっても良いことだと思うんです。

どんな情報を集めたらママたちに役立つのか、ママたちにはどんな情報が必要なのかは、現役で子育てをしている私たちがよく分かっています。子供が生まれて困ったことがあったとき、実はその解決の糸口はあるのに、必要な人に知られていないんです。どこにどんな支援があって、そこは何ができるのか。知らない人に届けられるようなフォローをしていきたいです。

子育ての悩みは、直接顔を見て会った方が解決することが多いと思います。1つの質問に対して、ネットなどで調べれば表面的な答えは転がっているけれど、一人一人に本当に合った情報を届けるのに、メッセは役立っているのではないかと思います。

毎年、実行委員は入れ替わりますが、「明日からの子供との生活が楽しく、辛さが和らいで、そして身近に手を差し伸べてくれる人たちがこんなにいる!そして次のママたちに、それをつないでね」という気持ちは変わらないです。

行政による支援サービス
意外と知らない身近な情報が発見できます。行政による支援サービス、その時期に役立つ子育て情報、産前産後のママのケア、遊び方のご紹介など盛りだくさん。きっと必要な情報に出会えます!


はいはい期の赤ちゃんから遊べる「遊ビバ」
「おとのひろば」では、歌やダンス、さまざまな楽器の音色が楽しめて子供にも大人気!他にも、はいはい期の赤ちゃんから遊べる「遊ビバ」、ママ向けセミナーやゆるキャラとの撮影会ができる「ミニステージ」なども。授乳室ではおむつ替えや授乳ができる他、母乳相談やママにうれしいマッサージのコーナーが用意されています。


品川区も事業パートナーとして参加。行政と共催することのメリットとは

-品川区との協働は、どんなところにメリットを感じますか?


メッセは、自分たちが困ったことや、こうだったらいいのに、助けてほしいなという思いがスタート。だからカバンの中にはいつもチラシを入れていて、子育てに困っているんじゃないかな?と思われるお母さんに声をかけたりもしています。そんなとき、区が関わっているメリットは大きくて、メッセを紹介するときも声をかけやすいです。チラシに「品川区」と書かれているので、怪しい団体じゃないよって(笑)。
児童センターや街中で、手が足りなそうだなっていうお母さんや、平日の昼間、子供と二人きりでどう過ごしていいか困っている人、お子さんの発育に気になるところがあるとか、おっぱいの相談・・・一人で困っている人に情報を届けたいです。

今年から、すべての会議に品川区の子ども育成課の担当者の方も「事業パートナー」として私たちと対等な立場で参加してくださっています。私たちの「こうしたい」という思いを区が聞いて「応援します」ということで運営費用の面でも協力してもらっています。とはいえ、実行委員の自主性は保ちながら会場費や保育費の一部や区の施設へのチラシの配布などで支えてくださり、運営費は出展料や協賛金で賄うようにしています。でも、予算のことひとつにしても、直接お会いして話せるのはとてもいいと思っています。

濱野 健 品川区長
会場に足を運んでくださった、濱野 健 品川区長


-10年以上続いているのはやはりママたちのニーズに合っているからなのでしょうか


そうだと思います。品川区内で子育て支援をしている団体様に「今年もどうですか?」と声をかけ、出展していただいています。出展団体さんも、おもちゃづくりをしたり、ハンドマッサージの体験をしながら相談に乗ったりといった工夫をしてくださっています。3~4年前からは、小さなお子さんが遊べる赤ちゃん広場を設けて、お母さんたちだけでなく子供も楽しめるメッセにしようという取り組みも行ってきました。

子供たちが楽しめる手作りおもちゃ
子供たちが楽しめる手作りおもちゃもたくさん。みんなで子育て世代を応援します!


ベビーマッサージ教室
畳のコーナーでは、ベビーマッサージ教室を開催。人気のワークショップはすぐに予約がいっぱいになるので、早めに申し込みを!


実行委員のメンバーも、普段、子供と二人きりだと社会との接点がなくなるんです。メッセの実行委員をすることで、社会貢献できる、子供を一時期預けて大人との関わりができるというのも、目的のひとつになっています。でも、乳幼児を育てながら、家事とのバランスをとりながらの実行委員は負担も大きいです。実は、11年目を迎える今年、実行委員の負担が大きいことから「もうやめようか」という話が上がりました。歴代の実行委員が集まって、メッセの継続について話し合いました。メッセによって助かるママもきっといること、10年の重みがなくなってしまうのはもったいない、ということから「やっぱりやろう!」となりました。だからこそ、継続可能なメッセにしようというのが、今年のテーマです。

参加者も主催者も心から満足できるメッセに。無理のない継続を目指してシフトチェンジ

-今年のメッセではどんな点に工夫をされたんですか


規模は縮小したくなかったので、出展団体さんに運営の一部を担っていただくことにしました。サイト運営も専門知識がないと難しいので外部に依頼。今はネットで情報収集するママが多いので、ネットの充実は大切です。他にも、共催企業を増やしていきたいと思っていますが、ママたちが営業をするのは難しいので、そこが課題です。品川区内で地域貢献をしたい、と考えている企業に集まっていただきたいと思っています。


-どんなときにやりがいを感じますか


例えば、こういう会場地図があったらいいな、と提案して、それが形になり、「当日みんな見てたよ!」と聞いたりするとうれしいですし、やりがいを感じます。実行委員はみんなで意見を出し合いながら、協力して何かを作り上げる文化祭みたいな楽しさがあるんです。メッセの半年くらいから実行委員会を始めて、毎月2~3回はメンバーに会うのですが、子供たちがどんどん成長していくのも楽しみです。

子育てで知り合う友達は、○○ちゃんのママだけど、ここでは名前で呼びあい、役割分担があって協力しあう。社会に役立つし、自分繋がりの仲間と出会えるのはいいですね。

自分繋がりの仲間
メッセ当日。半年間の思いがついに形に!実行委員も気合いが入ります


-今後はどのような活動をしていきたいですか?


品川区で愛される子育てイベントとして長く続けていきたいです。毎年赤ちゃんが生まれて、実行委員に入ってくれるママたちに、これからもメッセを引き継いでいってほしいです。OGだけで開催することもできますが、「こういうことをしたい!情報を伝えたい!」という新しいママたちに、これからも参加してほしいです。そして実行委員だけでなく、品川区、出展団体さんたちがどんなメッセにしていきたいかをしっかりと吸い上げて、三者の協働を大事にしていきたいです。お互いが主体的に関われるようなものが理想です。

今、一人で子育てに奮闘している新米ママがいたら、子育てに悩まないで、いろんな人に話を聞いてもらって、自分らしい子育てをしてもらいたい。そのためにメッセを続けていきたいと思います。私自身も子供と二人っきりの「孤育て」にならないことが大切だと思ってます。社会全体で子育てできたらいいですね。

子供が幼稚園や保育園に通い始めるようになったら、先生やママ友など相談できる相手も現れますが、それまでですよね、大変なのは・・・。赤ちゃんと自分だけの専業主婦の方の中には、気持ちが張り詰めているようなお母さんもいらっしゃいます。そういうところに手を差し伸べるメッセになってほしい。メッセにはいろんな団体、病院、福祉、さまざまな種類の団体が出展しているので、この相談だったらここがいいよ!と紹介できるのも強みです。いろんな区のメッセに出ている出展者さんから、「品川のメッセは本当にあたたかい」と言っていただいた雰囲気はそのままに、必要な人に必要な情報が届くメッセにしていきます。ぜひ、今年の品川子育てメッセに遊びに来てみてください!


写真協力:品川子育てメッセ2018実行委員(プロフィールを除く)