過ごしやすい気温となり、芸術に触れたくなるような季節ですね。今回は、幼少期に耳を育てることの大切さをお伝えします。
静寂を感じる
現代社会を生きている私たちは、しーんと静まりかえった音のない時間を過ごすことが、少なくなってしまいました。
常に様々な音が聞こえてくる環境で生活をしていると、日常に溢れる雑音も知らぬ間に脳や潜在意識がキャッチしてしまうそうです。
雑音は無意識に脳疲労を起こし、ストレスにつながります。
一方で、自然音は脳や耳に優しい音と言われています。
そんな自然音を、意識して子どもたちに聴かせてあげたいと思いませんか。
自然音は身近なところで聴くことができます。
例えば、静かな夜に耳をすませば、虫の声や葉っぱが風に揺れる音を感じられます。
小川や海が近くにあれば、ちょろちょろと流れるせせらぎや波の音を感じられるでしょう。
近くの神社に出掛けてみると、日中でもそこには神聖で荘厳な雰囲気があります。
どんな音が聞こえる?とお子さんにたずねてみましょう。
小鳥のさえずり、木々のざわめき、そのほかに耳では聞こえない高周波数の音が溢れており、脳がそれを心地よく感じ、リラックスできるのだと言われています。
そのような場所に行くと癒されると感じるのは、自然音から得られる周波数の効果も大きいのでしょう。
さまざまなジャンルの音楽を
お子さんには「子どもだから童謡」「子どもが好みそうな音楽」というように、聴かせる音楽を枠にはめすぎてはいませんか?
食材同様、与えるものを限定してしまうと食わず嫌いになる可能性があります。
耳なじみのない雅楽、各国の民族音楽や民謡、JAZZやボサノヴァなども子どものうちからそれとなく聴かせるだけで、耳・聴覚が育っていきます。
各ジャンルの有名なものや名演奏を聴かせると更に良いでしょう。
例えば、お正月に一度は聴いたことのある雅楽「越天楽」、モーツァルトの歌劇「魔笛」、バルトークの「6つのルーマニア民族舞曲」など長い時代を経て、今なお聴かれ続けている名曲・名奏はその音楽の生まれた国や歴史の背景や音風景を感じ取ることができるでしょう。
子どもには難しいんじゃないかな?と思う前に、耳慣れさせて音程が聴き取れる良い耳を育てましょう。
様々なジャンルの音楽を聴くことで、音楽に対する感性が育まれ、多様な音や音楽の美しさなどを感じ取ることができるようになり、美しいものに感動する心、豊かな心を育む基盤ともなるのではないでしょうか。実際に生の演奏を聴きに、足を運ぶのもとてもお薦めです。
手作り楽器と、音探し探検
娘が幼いころに、自然の素材から作られた楽器のあたたかい音に惹かれ、実際に手作りしてみたことがありました。
竹筒と竹枠をゆすって音を出す、インドネシアの楽器「アンクルン」、海の波や、雨の音を再現できる擬音楽器「オーシャンドラム」や「レインスティック」は筒状の乾いたサボテンやサボテンの棘、小豆や砂利を使って自然音を奏でます。
「レインスティック」はアフリカが発祥と言われる伝統的な民族楽器です。アフリカで発祥の後、世界中に広まり中南米で雨乞いの儀式の為に使われるようになりました。
どの楽器もどこか素朴で懐かしい音がするので、優しい気持ちになれるのです。
インターネットで作り方を調べて作ったところ、娘たちが大変興味を示しました。
絵本の読み聞かせに効果音をつけてみたり、歌やピアノで遊ぶときに娘に持たせてみたり、お昼寝の合図として使ってみたり。
いろいろな場面で自然の音を楽しめるので大変お薦めです。
芸術の秋!ぜひ親子で様々な音を楽しんでみてくださいね。
【筆者】大川優子
グルメサロン主宰 /メディカルアロマアドバイザー
参考
大濱純三:音楽美学と音楽療法 音楽療法最前線・増補版/人間と歴史社
東京藝術大学大学院音楽研究科 応用音楽学研究室編 子どもの心を育む 音楽活動